News

2017.03.17

体験居住プログラム「WORK+STAY」を振り返って(その2)


試しに神戸で暮らしながら、仕事してみる1週間のプログラム「WORK+STAY」。
体験者感想(その1)では 最初の体験者・伊藤さんの感想をお届けしました。
今回は、東京でデザイン、編集、執筆の仕事をフリーランスで行いながら、ウェブマガジン・オンラインショップの運営もされている原田さんの感想をお送りします。

原田さんの神戸滞在中のレポートはこちら

―「WORK+STAY」1週間にわたる滞在を振り返って感想はいかがでしょうか?

全体的な印象は、来る前に目を通していたリーフレット「神戸移住マップ」やWEBサイト「KOBE live+work」から思い描いていた想像との“ギャップのなさ”でしょうか。紙媒体やホームページなどで神戸の魅力をわかりやすく編集・発信されていますが、そうした情報と、実際に来て見て聞いた体験との間に落差をほとんど感じなかったことにささやかな感動を覚えました。

滞在中は、ホスト夫婦にいろいろと誘っていただいたり、おすすめを紹介していただいたおかげで、一週間はあっという間でした。ホームステイのかたちで北野での暮らしが味わえたのも、大変良かったです。ただし一週間は「試し住み」と呼ぶにはちょっと短すぎるかもしれません。楽しい非日常が続いたという印象の一方、日常を味わう前に終わってしまった感はあります。もっとも、最初の入り口としては、それでいいのかもしれません。

神戸に滞在してみて、最も魅力的に映ったのは住環境です。木や森、風の通る場所が好きなので、神戸の“自然と近接した都市”という点に一番興味を持っていたのですが、そうした環境の良さを直に確認できました。街中からも歩いていける山や滝、山から街に吹き渡る風、海を望む港町ゆえの風通しの良さ、人口約150万という規模感。森にも東急ハンズにも歩いていける街がどれだけあるでしょうか。

神戸の方たちの食への意識の高さも印象的でした。生産者も、お店の方も。神戸市北区、西区をはじめ、近隣に農地があって食材もそれをつくった生産者も目に見えている感じがいいですね。ファーマーズマーケットが継続的に開かれているのも豊かだなと感じました。
神戸からすぐ足を伸ばせるところに面白い場所がたくさんあることも大きな魅力だと思いました。神戸に滞在している間に京都や大阪の友人とも会うことができましたし、小豆島からフェリーで神戸に戻るというコースを楽しんだりも。また淡路島も訪ねました。今回は行けなかった篠山や、播州織で有名な西脇なども気になります。神戸に住めたら休日が充実しそうです。

神戸を拠点に自らの手で生業(なりわい)をつくり出している人を何人も紹介していただけて、間近に接することができ、お話も伺えたことは、とても参考になりました。
ただ、私の性格かもしれないですが、いきなり自己紹介をして話の輪に入るよりも、たとえば案内してくれた方と相手の方が親しげに会話している様子を脇から聞いて「これがここの人たちの普段の感じなんだ」と感じるくらいが最初はちょうど良いと感じました。やっぱりそこはヨソモノなので、まずは「その場に居合わせることができる」だけで十分なのかなと。でも、皆さんの日常のやりとりを近くで見られるだけで、そこにある人間関係や日常の景色、ひいては神戸がどんな街なのかということが垣間見えたように感じました。ネットや本で見ているのではわからない部分です。

神戸150万人に対して、東京の人口は約1350万人、東京都市圏で数えれば約3500万人。企業や仕事の数で言えば、圧倒的な差があることは理解しています。特にヨソモノが移り住むには、雇用や仕事の口を受け身で求めていてはダメで、東京とは異なるやり方で創造的に仕事をつくっていく必要があるだろうと痛感しました。

東京は、膨れ上がる人口の巨大な器のようです。顔の見えるローカルがないとは言いませんが、中心部に行くほど人が流動的に行き交っており、匿名性が強くなります。望めば、毎日でも新しい人に会い続けることができるほど。

私が育った場所は東京都港区なのですが、個人が小さく始める“小商い”の余地はほとんどなさそうに思えます。神戸は決して小さな都市ではありませんが、“小さく”や“ゆっくり”を試すことが許される余白があることが魅力ですね。そこに、東京とは異なる可能性を見ています。

ヨソモノである自分がこの街でどう仕事をつくれるのか、またどのように貢献できるのか、ということ。将来、本当に暮らしたい環境で生きていけるようになるためにクリアしなければいけない課題や目標を、今回の「WORK+STAY」の経験でいただくことができた気がします。ありがとうございました。

(体験者感想・その1はこちらからどうぞ)