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2017.02.15

WORK+STAYプログラム 参加体験レポート vol.2(前編)

王子公園駅~春日野道駅の間の高架下空間に集まるモノづくりの人々を視察。この日のツアーの最後に訪れました。

「東京じゃなくても、仕事できるようになりたい」

神戸で1週間滞在しながら、この土地での働き方について探ってもらうためのプログラム「WORK+STAY」。

前回の伊藤 宏さん、エスター・チェンさんのカップルに続いて、次の参加者は、東京生まれ東京育ちの原田 潤さんです。

原田さんはデザイン、編集、執筆の仕事をフリーランスで行いながら、海外に向けて「日本の美しいモノとその作り手を紹介する」ウェブマガジン兼オンラインショップを運営されています。

「私がしているのは、基本的に土地に縛られる仕事ではないと思っています。とは言え、慣れ親しんだ東京から別の街に拠点を移して本当に生業が成り立つのか探りたい。また、『KOBE live+work』や『神戸移住のための地図』といった媒体を通じて神戸の生活環境の豊かさに惹かれていたところだったので、実体験としてそれを感じたかった」と原田さん。

せっかくなので、原田さんのお仕事上での関心事でもある、「その土地に根ざして魅力的なものづくりを行っている人」と出会えるようなコースを心がけてご案内することにしました。

 

茅葺き古民家で暮らす

村上さん(左)ご一家が暮らす神戸市北区の茅葺き古民家にて。

「どちらかと言えば海より山の方が好き」という原田さん。神戸には街だけでなく山もあるので、まず新神戸トンネルを抜けて山あいの神戸市北区へ。

茅葺き古民家の一軒家にご家族で暮らしている村上敦隆さんを訪ねました。

原田「この建物は築どれくらいなんですか?」

村上「ここは築260年以上と言われていて市の指定文化財にもなっています。農村に茅葺きの家がある北区の風景は、県外の方がイメージされる神戸とはちょっと違うかもしれませんが、こういう一面もあるのです。このように山に囲まれた田舎の暮らしですが、車を使えば三宮や元町などの街中と行き来するのに30分圏内というのも大きい」

原田「東京であれば都市部と農村の移動は最低でも90分といった感覚なので、30分圏内ってすごいですね」

これが自宅の庭とは羨ましい限り。

茅葺き民家の室内の様子。

 

神戸とポートランドは似ている!?

神戸市北区にある弓削牧場にて。仔牛が触れる近さに。

続いてお邪魔したのは、同じく北区ですが、自然が豊富にありつつ、もう少し街中に近い場所にある「弓削牧場(ゆげぼくじょう)」。こちらは、三宮駅から車で約20分といった距離感。電車を使っても30分程度で着くことのできる、都市の中にある本格的な酪農場です。

ここでは牛の生乳を使った、カマンベール、フロマージュ・フレ、モツァレラチーズなどの自家製チーズを販売しています。またこれらのチーズと、野菜やフレッシュハーブなど牧場内で採れた野菜を使ったメニューを出すレストランも敷地内に併設されています。
1984年にカマンベールチーズの自作に成功した弓削牧場さんは日本国内におけるナチュラルチーズづくりの先駆者でもあります。

現オーナーの弓削忠生さんに話を聞きました。

弓削さん「都市の中だからこそ逆に酪農が大事。現在、弓削牧場では牛の排泄物から発生するガスを活用した再生可能エネルギーの活用も考えています。農場では、現在でも乳製品や野菜、ハーブといった食料や、食物を育てるための肥料も供給できていていますが、それらに加えてエネルギーも供給できるようになれば、自給力が一層高まることになります。震災などの緊急時を考えても街にとって酪農のポテンシャルは大きいと思うのです」

また、長女の杏子さんは現在アメリカ合衆国オレゴン州のポートランドに住んでいますが、ちょうど帰省中でした。

杏子さん「ポートランドも郊外は農業が盛んですし、街と郊外の距離のスケール感が神戸とよく似ていて住みやすいんですよ。都市と田舎の両方が暮らしの中で得られます」

原田さん「この環境に、街の中心部から電車と徒歩でも来れるんですね……」

弓削牧場の乳牛たち。

週末のレクリエーションとして一般の人々が牧場を訪れ、牛を眺め、チーズ料理を楽しむ。

牛乳からチーズをつくるときに出る「ホエー(乳清)」をベースに、カマンベールチーズを加えハーブで香りつけをしたシチュー(手前)。

「弓削牧場」のショップ。近畿圏や東京のお店に卸す他、通販でも販売している。

弓削牧場オーナー・弓削忠生さん。

現在ポートランドに住んでいる杏子さん。娘さんを連れて帰省中。

「私はずっと神戸にしか住んだことがなかったけど、ポートランドは環境に共通点が多いので違和感がなかったです」と杏子さん。

弓削牧場でランチした後、六甲山へ。

六甲山からの眺め。

(後編に続きます)

参考URL
「弓削牧場」ホームページ

取材・執筆=安田洋平 撮影=片岡杏子 収録 2016年10月21日