Medical Tech

Jun 2016
Interview 02

医の領域解放(2/2)

人を楽しませることで自分も楽しむ

神戸大学大学院 医学研究科 神戸大学医学部附属病院 内科学講座消化器内科学分野 特務准教授 杉本真樹

ポートアイランドの利点「東京とのアクセスが良いこと」

— ポートアイランドに医療系企業が集積しているとのことでしたが、杉本さんご自身も行く頻度は多いですか? 

杉本

頻繁に往復しています。神戸空港のすぐ近くに、神戸大学が所有する手術トレーニングや動物実験が行える施設があるのです。その2階にレンタルラボがあって、企業との共同研究なども行っています。

ポートアイランドの良いところは、やはり一番は神戸空港の存在です。東京からのアクセスがとにかく良い。1時間前後、約1万円程で、コストパフォーマンスの良さが気に入っています。

それから、神戸ポートピアホテルと神戸国際会議場・展示場を含めて、ポートアイランドでは国内でも有数の大規模な医学系学会を開催しています。国際会議場単体だと他の都市の方が多いということになると思いますが6,000~7,000人のイベントを主催できることも魅力です。

— 出張などでも便利ですよね。

杉本

そう。言い換えれば、人を呼びやすい。医療やテック系の人を呼んで、神戸空港からモノレールで一本の三宮までの間で、イベントをすぐに開催できるのはメリットです。 海外からの方も招待しやすい。1度東京に呼んで、それから神戸にも来ていただく。先ほどの神戸大学の研究施設にも空港から10分ですから。

— 東京+神戸という組み合わせで招致するというアレンジの仕方もあるのですね。

杉本

私自身の住居として神戸を選んだ理由のひとつはそこです。もともと出身は東京なのです。気軽に東京との往復ができるので、東京で仕事をする機会も増えています。

アメリカから戻るときに自然環境が良いところが良かった

— その他に、アメリカから帰国の際、神戸が良いと思ったポイントは?

杉本

山も海も近いというのはやはり好印象でした。私はアメリカ生活時代、シリコンバレーでスタンフォード大学がすぐ近くにあるカリフォルニア州のパロ・アルトという街と、Apple本社で有名なクパチーノという、丘の上の街に住んでいました。どちらも自然に囲まれた、気候も最高の場所なんですよ。そうした環境に慣れた後で、いきなり東京のような都会はちょっと抵抗があったのです。そういう意味でも神戸は良かったです。ちょっとゆったりした感じもあるし、住みやすさもある。

— 山と海。とは言え、お忙しくて休みもほとんどない状態かと思いますが。

杉本

いえ、海にも潜りますし山も登ります。スキーにも行きますよ。オンとオフをうまく使い分けています。

冬は自分で車を運転して、兵庫県の日本海側にあるスキー場に出掛けたり。2~3時間で行けてしまいますからね。東京にいた頃に新潟まで4〜5時間かけて渋滞の中を行っていたのに比べると、はるかに快適です。

— スポーツはかなりお好きなんですね。

杉本

神戸空港からは沖縄にも気軽にアクセスできます。神戸に住むようになってダイビングにも行きやすくなりました。沖縄とか鹿児島とか。沖縄にある病院の医療支援もしているのですが、行ったついでにダイビングもしてきたりしますね。
また冬は札幌にも行きやすく、スキーもよく行けるようになりました。

Appleユーザーグループと医領解放の関係

— 本業のかたわら、Appleユーザーの会の主催もされているんですよね?

杉本

はい、1年前にAUGM KOBE(Apple Users Group Kobe)を有志で立ち上げました。もともとAppleユーザーのコミュニティーグループは全国にあったのですが、神戸はそれまで無かった。そこで周りの方に声を掛けて、神戸版をやりましょうと。現在は、大きなイベントだと120〜150人くらい集まります。

— なぜそうした活動を熱心にされるのですか?

杉本

純粋に私自身が楽しいという理由がまず第一。それから人を楽しませることが好きだからです。私にとっては病院の外のことを知る重要な機会なのです。そして、そこで楽しんでもらうことで何かが返ってくる。そのコミュニケーションが非常に楽しいですし、医療と一般社会との壁を解放することにつながると思っています。

東京と神戸、それぞれの利点

— 実際、東京の方が人も情報も集積しやすい。それでも今後、意欲的な人たちが地方都市で活動し始めることがあると思いますか?

杉本

それは起こりうると思いますし、実際にそういった動きも見られています。

— 地方都市で活動をする場合のモチベーションとは。

杉本

まず、なぜ私が半分東京にいるか。偶然出会うモノ・コトが多いからです。人の集まるところにいると、何かが舞い込んでくる。

「東京に居ます」って言うと、すぐに人が来てくれます。神戸で講演しますって言っても、わざわざ東京からは来ない。ですから人が集まりやすいという意味では、やはり今でも東京なのでしょうね。

でも、神戸でできること、というのも確実にあるんです。二拠点で仕事をしていることによって、それがわかってきたと思います。ですから東京だけ、地方都市だけ、どっちかではなくて、うまく切り分けられるのがいいのでは。そして、その点でもやっぱり神戸空港のアクセスの良さが大きい。

— 他に神戸の方が良い点と言いますと。

杉本

考える時間があるということ。これは東京との比較だけでなく、大阪などと比べても、考える余裕ができるのでは、と感じます。東京だと、要らない情報も入ってくるという短所もあります。

あとは、神戸にいると「本気の人しか来ない」。大阪は、東京からでも新幹線ですぐに来れます。大阪と神戸は在来線で30分、新幹線だと15分しか変わらない。けれども結果的にこの数分を越えるかで本気かどうかのフィルターがかけられると思います。

— 研究・開発は雑音のない落ち着いた環境でじっくり時間をかけて地方で、かたや情報を仕入れに行ったり営業をしにいくのは東京で、という組み合わせの発想はあるのかもしれませんね。

杉本

そうですね。それに、観光面での魅力が神戸にはあります。神戸でイベントをすると、だいたい一泊なので、逆に時間がとれるんですよ。これが大阪だと日帰りで帰ってしまいますね。神戸にはゆっくりと日常をリセットしにやってくる方も多いと思いますし、私も神戸ではとてもリラックスできているのです。