International

May 2016
Column

三宮駅周辺の外国人の暮らし

外国人の働く場所、国際的な学校や幼稚園、宗教施設、外国人コミュニティー。こうしたものすべてが神戸にある。

三宮駅から南(海側)に向かって歩いて数分の、まさに神戸の中心地と言っていい場所に暮らしているディカンディロさんご家族やシンハさんご家族(前篇はこちら)。現在、神戸の中でもこの辺りは特に、さまざまな国籍の人々が多く暮らす。ビジネスなどをきっかけに居留した外国人が、その土地を気に入って、そのまま何世代にもわたり住み続けた結果、日本でも有数の外国人率が高いエリアになっているのだ。その暮らしぶりをデータとともに詳しく見ていこう。

アジア各国をはじめアメリカやインド、ブラジル、イギリス…。挙げればきりがないが、神戸市内には、2016年2月末現在131の国籍・地域 43,722人(図1)にものぼる外国人が暮らしている。

(図1)神戸市内の外国人数[単位:人](出典:平成28年 データ神戸3月号「人口6.外国人数」

神戸市には、ネスレやP&G、イーライリリーなどの世界を代表する外国・外資系企業の日本本社をはじめ、世界各国の企業の事業所があり、その数は約200社以上と非常に多い。アメリカ、中国、ドイツ、フランス、スイスなど各国にわたる外資系企業が神戸市に拠点を置く理由はさまざまであるだろうが、その生活環境の良さが好まれる理由のひとつになっていると思われる。

多国籍な街の始まり

1868年に開港した神戸。それ以来、港町として多くの外国人を迎え入れてきた歴史のもと、神戸に定住している外国人の数は多い。中でも神戸市中央区においては、区の人口の約1割が外国人であるという数字が統計であがっている(図2)。

(図2)神戸市中央区の人口に対する在留外国人の数[単位:人](出典:平成28年2月 神戸市HP「推計人口」、平成28年2月データ神戸3月号「人口6.外国人数」)

開港から間もない頃の神戸では、多くの外国人領事館が置かれ、外国人居留地としての住環境の整備が進められた。また、当時の英字新聞“The Far East”には、「東洋における居留地として最も良く設計された美しい街である」と高く評価された。

結果、日本にはない建築様式や生活文化が持ち込まれ、異国情緒漂う街並みができ上がった。外国人が自分たちの暮らしやすい街へと、自分たち自身でカスタマイズしていったとも言える。だから、現在に至るまで、2世、3世、4世と何世代にもわたり神戸に住み続ける外国人が多いのも納得できる。

多様な価値観を学べる教育環境

幼稚園・小学校・中学校・高校においても、国際色豊かな教育環境が充実している。神戸市内には、六甲アイランドにあるカネディアン・アカデミィ、中央区中山手にある聖ミカエル国際学校や神戸中華同文学校をはじめ、6法人8校の外国人学校がある。神戸市内の外国人学校(注)に通う生徒数は2,512人(平成21年時点)と、政令指定都市における外国人学校に通う生徒数の約25%にも上る(図3)。

(注)外国人学校・・・インターナショナル・スクールや民族学校などが含まれ、各種の初等教育や中等教育が行われている場所。

(図3)政令指定都市ごとの外国人生徒数[単位:人](出典:平成21年 外国人学校の政令指定都市比較)

神戸市立小中学校においても国際色は豊か。平成27年5月1日時点で、神戸市内において38カ国1,077人の外国籍の子どもが通っている。日本人であるが外国で育った子どもや、外国にルーツのある生徒も多い。来日したばかりで日本語のまったく分からない子どもたちが困らないように多文化共生サポーターを派遣したり、日本語が十分に理解できない生徒に日本語指導を行ったりしている。

外国人学校では、将来的に自分の国に戻ったり、また違う国で働いたりすることを念頭に、日本にいながらにして海外にいるような教育環境を得ることもできる。また、公立の学校では多文化共生の考えに基づいた教育が進められており、より日本の環境に根ざしていくこともできる。子育てにおいて多様な選択肢があると言えるだろう。

宗教施設と交流の場

神戸の街の中では、神社や寺院、教会、モスクなど世界各国の宗教施設が街の風景に溶け込んでいることに気がつく。特にそうした施設が多いのが北野町界隈で、仏教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、ジャイナ教などの宗教施設がある。キリスト教の教会だけでもカトリック、プロテスタント、東方正教会と三大宗派全部の教会があるのだ。

自分の信仰している宗教の施設が身近にあるということは、移り住んでくるカップルや家族にとって安心できる環境であるといえるだろう。何世代にも渡り外国人が住み続けているからこそ、多様な宗教施設がしっかりと根をはり日常に溶け込んでいる。

外国人コミュニティーも多い。国内において神戸が、ゴルフやサッカー、マラソンなどの発祥の地とも言われているのは、外国人が親睦のために設立した(一社)神戸外国倶楽部や(一社)神戸リガッタアンドアスレチック倶楽部(KR&AC)といった外国人クラブなどに集う外国人による功績といえる。自国のスポーツを楽しむ外国人の活動が、神戸の街に溶け込み、スポーツを楽しむ文化が発展していった。

インド人コミュニティー、華僑系コミュニティーのように、人種ごとのコミュニティーも存在する。移住してきた外国人が、慣れない日本での暮らしに必要な情報を収集する場として活用したり、自国のルーツとつながりその交流の幅を広げたりできる。

働く場所、学校や幼稚園などの教育施設、宗教施設、外国人コミュニティー。こうしたものすべてが神戸の街では充実している。国籍が異なるカップルや外国にお住まいの家族にとっても、移住という選択がしやすい街ではないだろうか。

取材・執筆=濱部 玲美 写真=片岡 杏子