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May 2016
Interview 01

外国人がずっと住み続けたいと思う街

ここでは、子どもが自分ひとりで出歩ける。アメリカでは想像もつかなかったことです。

ビリヤードを愉しむインド出身のシンハさん(右端)と、同じマンションに住む友人のディカンディロさん(中央)。写真左端はシンハさんの奥さん。シンハさんの息子さんも一緒。

神戸には普通に生活している外国人が昔から多い。神戸市中央区に至っては、おおよそ10人に1人の割合だ。その国籍や職種、在住歴はさまざまである。周辺の公園では、早朝にはジョギング、昼下がりには子どもを連れて散歩をする外国人の姿が多くみられる。230人ほどが在籍する外国人クラブも中央区にあり、外国人が集う交流の場となっている。中央区で同じマンションに住む友人同士、アメリカ出身のディカンディロさん一家と、インド出身のシンハさん一家に話を聞いた。

決め手は子育て環境

— 素敵なタワーマンションにお住まいですね。いつからこちらに?

ディカンディロ(夫)

製薬会社に務める妻が大阪本社に赴任することになり、2013年に家族4人で神戸に引っ越してきました。ここは駅がすぐそばで便利ですし、何よりこの景色がとても気に入っています。妻はニューヨーク州の出身で、僕はその隣りのペンシルベニア州の生まれです。神戸に来るまではずっとアメリカで生活していました。

— 勤務先が大阪なのに、神戸に?

ディカンディロ(妻)

出張で東京や大阪、神戸に来たことがあったのですが、東京や大阪で子育てをするイメージが持てなかったんです。街が忙しないというか。神戸は、そんな印象がなく、子育てがしやすいのではと思い決断したんです。

— シンハさんご家族も、同じマンションにお住まいだそうですね。

シンハ(夫)

はい、よくお互いの家を行き来していますよ。ここへ来たのは2014年。勤めている製薬会社の神戸本社に赴任することになり、勤務地の近くにあるこのマンションに決めました。僕も妻もインドの出身ですが、2000年からは仕事の関係でアメリカに赴任し、そこで14年間暮らしていました。

— 家族で神戸に来ることに不安はなかったですか?

ディカンディロ(妻)

私たち夫婦は、とても楽しみにしていました。でも、当時娘は8歳で息子は6歳だったので、学校のことが一番心配で。娘のソフィアには、アメリカに暮らす祖父のところに残ってもいいよ、という話もしていたんです。

シンハ(妻)

私たちも息子が5歳のときでしたから、教育環境がきちんと整っているかどうか不安でした。だから、息子を通わせようと思っていたインターナショナルスクールへ事前に見学に行ったんです。そのとき息子のとても気に入った様子を見て、胸をなでおろしたことを覚えています。

外国人が自然と馴染める学校の環境

— 実際、神戸の学校はいかがでしょうか?

シンハ(妻)

とても満足しています。マンモス校のようなアメリカの学校と比べて、生徒の数も少ないので、先生の目がしっかり行き届いています。クラスは外国人と日本人の比率が半々くらいで、こちらでの友達もたくさんできたようで毎日楽しそうに学校に通っています。

ディカンディロ(妻)

私たちの子どもも同じ学校です。アメリカにいた時とそんなに変わらず過ごしているようで安心しています。勉強のレベルは以前より少し高いようで、宿題が多いとたまに愚痴を言っていますけど(笑)

子どももひとりで出歩ける街

— 神戸に来て一番驚かれたことは何でしょう?

シンハ(妻)

まずは、子どもがひとりで活動できる、ということでしょうか。息子は、自宅から学校まで45分くらいの距離を電車で通っています。そんなこと、アメリカでは想像もつかなかったことです。それに、子どもがひとりで街の中を歩くということも。以前は、外でトイレに行くときも横断歩道を渡るときもついて行っていましたから。

ディカンディロ(夫)

家からどこへでも歩いていけることが新鮮でした。アメリカにいる頃は、車がないと生活できませんでしたから。子どもたちが学校帰りにショッピングをする場所や、家族で食事を楽しむレストラン、休日に訪れる美術館や図書館。それに近くにある、みなとのもり公園や東遊園地をはじめとするたくさんの公園。東遊園地では最近、EAT LOCAL KOBE ファーマーズマーケットなど、さまざまな催しがあり、そういったものに気軽に参加できるのが嬉しいですね。

ディカンディロ(妻)

それに、アクセスの良さも見逃せませんね。家から空港まで約20分ですし、新幹線の駅までも約15分。少し遠出をしようと思えばすぐにできます。電車やバスも定刻通り来ますし、本当に便利。安全で便利で、悪いところが見つからない、世界一の街ですね。

家族との時間が増えた

— 日本で働くことによって大きく変わったことは?

シンハ(夫)

アメリカで働いていたときは、家族との時間があまり取れなかったのですが、今は勤め先が自宅から歩いて5分くらいの場所にあります。おかげで、家族と一緒に過ごす時間がずいぶん増えました。

ディカンディロ(夫)

私たちも家族で過ごす時間が増えましたね。アメリカでは、僕が土日も働く仕事をしていたので、休みがあまり合わなかったんです。妻が、カレンダー通りに休みがとれるので、こちらに来てからは僕が家事全般を担うスタイルにがらりと変えてみたんです。

家のことをしながら、外国人スポーツクラブである神戸リガッタアンドアスレチック倶楽部(KR&AC)の理事やバスケットチームのコーチ、それにPeace & Natureというさまざまな国の人が農業を通して交流し環境を考えるNPOでボランティアに参加しています。

こっちに来て、家族で旅行する回数もぐんと増えましたね。沖縄や広島、鳥取、北海道。それに富士山も家族で登りました。一番良かったのは松山の宿。民家みたいな宿泊施設に泊まって、その土地の人と家族のような時間を過ごしたんですけど、リアルな日本の日常を体感できたというか。実は松山へは既に2度も訪れていて、今年も行きたいねって話しているんです。

新しい土地での情報源

— 慣れない土地で、生活に必要な情報をどのようにして収集したのでしょうか?

ディカンディロ(妻)

来たばかりの頃はどこで何を買うのかもわからなくて戸惑いました。1時間スーパーにいても買いたいものが見つけられなかったこともあるんですよ。けれど、外国人コミュニティーがすぐそばにありましたから、必要な情報を気軽に聞くことができてとても助かりました。

シンハ(妻)

私も、外国人コミュニティーや夫の会社の紹介のおかげで、英語を話せるお医者さんをすぐに見つけることができましたね。

ディカンディロ(夫)

神戸には国籍や宗教、活動内容に応じてさまざまなコミュニティーがあるので、自分にあった場所を見つけることができます。スポーツを中心に活動しているKR&ACでは、スポーツを楽しみながら多くの人と出会えるのがいいですね。

都会と自然の程よいバランス

— 改めて、みなさんにとって神戸はどんなところでしょうか?

シンハ(夫)

すべてが近隣で完結する便利さは突出した魅力ですね。それに、ここではいろんな国籍の人が大きな家族みたいに暮らしているように思います。何かあればみんなで助けあえる。住み心地の良い街です。

ディカンディロ(夫)

神戸は、都会でありながら、山と海に囲まれ美しい自然が近くにあります。僕の家から見える景色がまさにそう。ビルが建ち並ぶすぐ南側には海が広がっていて、浮かぶ船や向こうに掛かる橋が見渡せる。北側を見上げると街を見守るように広がる山並みがある。自然が好き、でも街の暮らしをしたい、という人にとても良いと思います。それに子どもにとって、本当に良い環境が整っているんじゃないかな。

取材日=2016年3月13日 取材場所=神戸市中央区にあるディカンディロさんのお宅と神戸リガッタ&アスレチッククラブにて
取材・執筆=濱部 玲美 写真=片岡 杏子